『不便ですてきな江戸の町』でくずし字解読に挑戦!
永井義男著『不便ですてきな江戸の町』でくずし字解読に挑戦しよう!
★以下の画像は『不便ですてきな江戸の町』(永井義男著)に掲載された画像です。そこに書かれている文字を読み解いてみてください。
《問題》①
『東海道風景図会』(歌川広重、嘉永4年頃)より。国会図書館蔵
《問題》②
『守貞謾稿』(喜田川守貞)より。国会図書館蔵
《問題》③
『宝船桂帆柱』(十返舎一九著、文政十年)より。国会図書館蔵
《問題》④
『磁石山浮世精霊』(万亭応賀著、弘化2年)より。国会図書館蔵
★わかりましたか?? 正解はこちらです。
《答》①
道中風俗
其一(上)
たひ僧(旅僧)、行脚、武家、はや宿次(早宿次)、あんま(按摩)、旅商人、比丘尼(以上、上段右より)
留女、飯盛、飛脚、くも助(雲助)、一人旅、こむそう(虚無僧)、田舎同者、道場廻り(以上、下段右より)
其二(下)
宿引、かへり馬(帰り馬)、遊山たび(遊山旅)、宿かご(宿駕籠)、田舎医者(田舎医者)、売薬、おぢやれ(以上、上段右より)
ごぜ(瞽女)、六部、金ひら参(金比羅参り)、ぬけ参り(抜け参り)、巡礼、三宝くわうじん(三宝荒神)(以上、下段右より)
《答》②
御膳 大蒸籠 代四十八文
一そば 代拾六文
一あんかけうどん 代拾六文
一あられ 代二十四文
一天ふら 代三十二文
一花まき 代二十四文
一しつほく 代二十四文
一玉子とじ 代三十二文
一上酒一合 代四十文
(注)「そば」は、いわゆる「かけ蕎麦」で、具は何もない。「あられ」は貝柱、「花まき(花巻)」は揉んだ海苔、「しつほく(しっぽく)」は、蒲鉾や椎茸が、それぞれ具材として入っている。
《答》③
甘酒屋
あきなひは
三国一と
名に高き
富士の
山ほど
たまる
金銀
(注)女性の持つ盆の上方に見えるのは屋号。「大こくや(大黒屋)」と書かれている。
《答》④
「サア、二分のつりをくれろ。此ほうには、かねはおろか、かけせん一文、ありはせぬぞ」
「これはさて、わたくしどもが、どうして二ぶのおつりをもちませう。そしてモウ夜がふけたから、両がへ屋でもおきませんゆゑ、百のかはりに二分ばんをいただくほか、いたしかたはござりません」
(解説)
左側の男三人が蕎麦を食べ、代金は百文(実際は九十六文)だった。右側の親方格の男がまとめて支払おうとしたが、財布には二分金が一粒あるだけだった。
やむなく、二分金を出し、つりをくれと言った。刊行年の弘化二年(一八四五)の相場で、金二分は銭三千二百文くらいである。
蕎麦屋はびっくりし、二分金をもらっても、とてもつりはない。すでに夜がふけ、両替屋も店を閉じている。その二分金をもらうしかない、と。
江戸時代の複雑で不便な通貨事情、両替屋の存在、また九十六文が百文として通用した慣習など、くわしくは『不便ですてきな江戸の町』をお読みくださいね。
(禁転載)