柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

新刊

15分都市 人にやさしいコンパクトな街を求めて

定価
2,420円(本体 2,200円)
刊行
2024/08/22
ISBN
9784760155712
判型
四六判
ページ数
270

内容・目次

内容

 消滅可能性自治体という言葉が話題になった。20~30歳代の女性人口の少なさが基準となっているようで、ショックを受けた自治体も多い。それ以外にも人口減、高齢化、大都市への人口流出、少子化など、さまざまな要因によって都市の存続や生活手段の維持が危ぶまれている。
 では、そもそも都市とは何なのだろうかという点から考えてみたのが本書だ。歴史的にみた都市の形態やその発展の様子、世界にはどのような都市があり、都市での生活の実態や都市の持つ魅力、都市のデザイン、グローバル・シティの利点と弱点、さらには持続可能性などを考えていく。その中から生み出されてきたのが「15分都市」という考え方だ。
 15分都市とは、生活、仕事、買い物、医療、教育、自己啓発という6つの必須な社会機能に15分以内に徒歩または自転車でアクセスでき、社会生活にとっても地球環境にとっても持続可能となる新しい都市モデルのこと。2020年にパリ市長が都市計画作成に盛り込んだことで注目を集め、コロナ禍の影響でさらに関心が高まった。世界の人口の大半が大都市に集中し、文化、環境、技術、経済など人類の発展における主要な問題が集中する都市地域の改革は今や喫緊の課題だ。本書では、私たちの生活空間や有用な時間との関係について問いかけ、よりよい暮らしのための新しい都市の在り方を提案する。


【著者略歴】
カルロス・モレノ(Carlos Moreno)
IAEパリ・パンテオン・ソルボンヌ大学の「アントレプレナーシップ、領土、イノベーション」講座の共同創設者であり、同講座の准教授。アンヌ・イダルゴ・パリ市長をはじめ、世界中の著名人に助言を与えている。アカデミー・フランス建築協会より2019年プロスペクティブ・メダルを授与された。


【訳者略歴】
小林重裕(こばやし・しげひろ)
1979年生まれ。フランス語翻訳家。國學院大學文学部哲学科卒業。訳書にミシェル・エルチャニノフ著『ウラジーミル・プーチンの頭のなか』(すばる舎)、ナタリー・サルトゥー=ラジュ『借りの哲学』(共訳・太田出版)、ジャン=ガブリエル・ガナシア『虚妄のAI神話「シンギュラリティ」を葬り去る』(共訳・早川書房)、オリヴィエ・レイ『統計の歴史』(共訳・原書房)がある。


目次

序文 リチャード・セネット
はじめに 都市に住む権利、都市で生きる権利
第1章 生きている都市―過去の都市、今日の都市、未来の都市:生きる場所
第2章 気候への課題―環境変動にさらされた街と都市生活
第3章 都市の複雑性―多様な顔を持つ都市:不完全、未完成、脆弱な都市
第4章 都市に生きる権利―都市への権利から都市の中で生きる権利へ
第5章 持続可能な大都市―街は何よりも長く続いていく
第6章 近接性の実験―15分都市
第7章 大転換―大都市化、グローバリゼーション、地域
第8章 ユビキタスな街へ―21世紀のテクノロジー、いたるところに接続する都市
結論 新型コロナウイルスとともに生きる現在、未来はどうなるのか
解説 サスキア・サッセン