男はクズと言ったら性差別になるのか
- 定価
- 2,970円(本体 2,700円)
- 刊行
- 2024/07/24
- ISBN
- 9784760155682
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 408
- ジャンル
- 政治・経済・社会・教育・民族
内容・目次
内容
大学入試での特別枠は差別なのだろうか。性的弱者への偏見や差別はどうだろう。最近はやりのセクハラ、カスハラなどの~ハラは何がいけないのだろうか。女性にはどう声をかければいいのか。女性に「ほら笑って」はいけないのか。外国人に対する「故郷へ帰れ」はどうだろうか。政治家の発言に聞く「あなたは美人」うんぬんはかまわないのか。
社会やその地域の文化にはびこる差別や偏見。人種差別だけではなく、男女差別、年代での差別、弱者への差別などなど、一部の人たちへの酷い扱いがはびこっている。
こうした問題は社会正義という観点から考えると、どのように対処すればいいのだろうか。声高に説教をする老人が話題になったり、ヘイトスピーチ、貧困家庭、児童ポルノの問題、男性の給与や昇進が有利な問題、出演俳優の違法行為による上映中止など、毎日のように耳にするこうした話題。これらはなぜなくならないのだろうか。それは正しい判断なのだろうか。
哲学が単なる崇高な学問ではなく、身近なツールとして利用できるようになってきた。それを用いてこうした問題はどのように考えればよいのかを、いくつかのキーワードを元に解説していく。
社会的に地位があり、安定した身分のある人々がなぜこうした問題を考えるのを嫌うのか。差別を受ける側の視点からはどのように考えればいいのかを伝授する。
【著者略歴】
アリアン・シャフヴィシ(Arianne Shahvisi)
クルド系イギリス人の作家で哲学者。ランカシャーとエセックスで育ち、ケンブリッジ大学とオックスフォード大学で天体物理学と哲学を学ぶ。現在はブライトン・アンド・サセックス・メディカル・スクールで応用哲学の講師を務めながら、主としてジェンダー、人種、移民、健康について研究。『ロンドン・レヴュー・オヴ・ブックス(London Review of Books)』誌に定期的に寄稿している他、『ガーディアン(The Guardian)』紙、『プロスペクト(Prospect)』誌、『インデペンデント(The Independent)』紙、『エコノミスト(The Economist)』誌にも寄稿。
【訳者略歴】
井上廣美(いのうえ・ひろみ)
翻訳家。名古屋大学文学部卒業。主な訳書に、ロン・チャーナウ『ハミルトン アメリカ資本主義を創った男』(日経BP社)、ドナ・ローゼンタール『イスラエル人とは何か ユダヤ人を含み超える真実』(徳間書店)、マーク・マゾワー『バルカン 「ヨーロッパの火薬庫」の歴史』(中公新書)、ジョン・D・ライト『呪われたロンドンの歴史』、チャールズ・フィリップス『中世ヨーロッパ城郭・築城歴史百科』(以上原書房)など。
目次
はじめに 思考のプロセスを見せよう
第1章 白人に向かって人種差別的な言動をとれるか
第2章 「ポリティカル・コレクトネス」は行きすぎたか
第3章 「犬笛」は何が問題か
第4章 「男はクズ」と言ったら性差別になるのか
第5章 「オール・ライヴズ・マター」のほうが正しいのか
第6章 私たちは誰を信じるべきか
第7章 「マンスプレイナー」はどこから水を得るのか
第8章 誰が誰をキャンセルしているのか
第9章 「構造的不正義」は私たちの責任なのか
結び 一番近くにあるバリケード