柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

おとなは子どもにテロをどう伝えればよいのか

テロリズムはなぜ繰り返し起きるのか?ゴンクール賞作家が娘と対話しながら、発生の背景、恐怖との向き合い方、政教分離を考えぬく。

定価
1,980円(本体 1,800円)
刊行
2022/11/24
ISBN
9784760154913
判型
四六判
ページ数
202

内容・目次

内容

2015年1月7日、フランスの新聞社をテロリストが襲撃し、編集長や風刺画家ら12名が殺害されるという一連のテロ事件がおきました。このシャルリー・エブド事件のインパクトは、世界中の人々に表現の自由とは何かを改めて考えさせることとなりました。
本書はこの出来事を受け止めたフランスの著名作家が、娘との対話の形をとりながら、テロリズムとは何か、テロリストとは誰か、テロの恐怖とそれを乗り越えるにはどうしたらよいのかをめぐって、真剣に思索を深めていきます。
本書では、ライシテ(政教分離)などとの関連でテロの問題が論じられますが、話はフランス国内に限らず、世界中で拡大するイスラム原理主義にもとづくテロ全般に及びます。
国際社会においてテロが終息する気配は一向に見えておりませんが、ウクライナ情勢でむき出しになった国家の暴力や、日本における安倍元首相襲撃事件とその後の政教分離の政治問題化など、いまの社会の動向を考えるうえでも有益な知見を提供してくれます。
テロリズムはなぜ起きるのか? と疑問に思ったらまず読んでいただきたい一冊です。


※本書は以下の日本語訳です。Tahar BEN JELLOUN, LE TERRORISME EXPLIQUÉ À NOS ENFANTS (Éditions du Seuil, 2016)


【目次】
序文 子どもたちにどのようにテロリズムを語るか 
ある日のこと
翌日には
二日後に
最後に
あとがきとして
訳者あとがき


【著者紹介】 
ターハル・ベン・ジェルーン Tahar Ben Jelloun
1947年生まれ。モロッコ出身のフランスの作家・詩人。『聖なる夜』(菊地有子訳、紀伊国屋書店)でゴンクール賞受賞、『あやまちの夜』(同)で国際IMPACダブリン文学賞受賞。主な邦訳作品に『歓迎されない人々――フランスのアラブ人』(高橋治男・相磯佳正共訳、晶文社)、『砂の子ども』(菊地有子訳、紀伊国屋書店)、『気狂いモハ、賢人モハ』(澤田直訳、現代企画室)、『娘に語る人種差別』(松葉祥一訳、青土社)、『子どもたちと話すイスラームってなに?』(藤田真利子訳、現代企画室)、『アラブの春は終わらない』(齋藤可津子訳、河出書房新社)、『火によって』(岡真理訳、以文社)、『?つきジュネ』(岑村傑訳、インスクリプト)など。


【訳者紹介】
西山教行 Noriyuki Nishiyama
1961年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は言語教育学、言語政策、フランス語教育学。編著書に『多言語化する学校と複言語教育』(共編、明石書店)、『現代フランス社会を知るための62章』(共編、明石書店)など、訳書にフランソワ・グロジャン『バイリンガルの世界へようこそ』(監訳、勁草書房)、マルティンヌ・プレッチェル『異文化間教育』(白水社)、クロード・トリュショ『多言語世界ヨーロッパ』(共訳、大修館書店)など。