SDGsとトイレ 地球にやさしく、誰もが使えるために
トイレから世界を眺めてみたらSDGsが身近になってきた!――人権や環境とのかかわりが浮かび上がりトイレの未来形が見えてくる!
- 定価
- 3,300円(本体 3,000円)
- 刊行
- 2022/08/24
- ISBN
- 9784760154685
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 260
- ジャンル
- 自然科学・建築
- シリーズ
- 進化するトイレ(全3巻)
内容・目次
内容
日本にいると想像しにくいかもしれないが、清潔なトイレを安心して使えない人は世界中に23億人もいる。そのうち5億人はトイレがない環境で生活しており、野外で用を足さざるをえないのだ。また世界には、学校に清潔なトイレがないために通学をあきらめる女子児童・生徒もたくさんいる。
教育を受ける権利や就労の機会も失うなど、トイレ環境の良し悪しが女性の人生に大きな影響を与えていることは知っておきたい。誰もが使えるトイレ環境の整備は、今日も世界各地で進められている。
先進国では当たり前の水洗トイレについても、一度立ち止まって考えてみたい。一人あたり年間10kgのCO2が水洗トイレから排出しており、地球温暖化に加担しているのだ。生活用水の2割をトイレが占め、一人あたり1日に45リットルも使っている計算である。深刻な水不足が懸念される日本において、見過ごすことのできない問題だ。
では、どうしたらよいのか。本書では、国内外の最新事情を熟知する執筆陣が、水を使わないドライトイレや雨水の活用など、これからのトイレの進むべき未来を考える。
【目次】
はじめに
第1章 トイレから読み解くSDGs――17の目標とトイレ
1 SDGsとは何か?
2 トイレと人権
第2章 安全な水とトイレ――トイレなき世界を変えよう
1 安全な水とトイレ――約5億人が野外排泄をしている世界
2 日本から世界へ――国際社会の取り組みと日本の国際協力
3 世界のトイレ改善活動
4 日本の技術、ノウハウを活かせ!
第3章 誰一人取り残さない日本のトイレ
1 「誰一人取り残さない」ということ
2 障害のある人とトイレ
3 女性とトイレ
4 性的マイノリティとトイレ
5 子どもとトイレ
第4章 水洗トイレは持続可能か
1 汲み取りトイレと水洗トイレ――エコだった昔のトイレ
2 水洗トイレのその先はどうなっているか
3 これからの持続可能なトイレシステム
おわりに
【編者紹介】
日本トイレ協会
1985年にトイレ問題に関心を持つ官民の有志により発足、2016年に一般社団法人。①トイレ文化の創出、②快適なトイレ環境の創造、③トイレに関する社会的な課題の改善、に大きく寄与してきた。会員相互に研鑽を積み重ね、関係各方面の協力を得ながら、主に全国トイレシンポジウムや各種講演会を通じて、最も進んだトイレ文化の華を日本に咲かせるとともに、世界への情報発信に努めている。
執筆者一覧(50音順) **は編者代表 *は編集委員
足立寛一(㈱エクセルシア代表取締役/日本トイレ協会運営委員)
*川内美彦(東洋大学人間科学総合研究所客員研究員/日本トイレ協会運営委員)
北岡未唯(日本トイレ協会若手の会flush代表)
齋藤亮次(公文国際学園中等部・高等部教諭/早稲田大学教育総合研究所特別研究員)
*白倉正子(アントイレプランナー代表/日本トイレ協会運営委員)
高橋朝子(NPO雨水市民の会事務局長)
*高橋未樹子(コマニー㈱研究開発本部研究開発課長/日本トイレ協会運営委員)
谷口洋幸(青山学院大学教授)
戸田隆夫(明治大学特別招聘教授/元JICA上級審議役)
戸田初音(日本トイレ協会会員)
永島史朗(TOTO㈱渉外部担当課長/日本トイレ協会運営委員)
長島洋子(㈱LIXILコーポレート・レスポンシビリティ室室長)
中村咲里佳(日本トイレ協会若手の会flush)
日野晶子(㈱LIXIL LWTJ営業本部設備プロジェクト営業部スペースプランニンググループ)
星野智子((一社)環境パートナーシップ会議副代表理事/(一社)SDGs市民社会ネットワーク理事)
村上八千世(常磐短期大学准教授/日本トイレ協会運営委員)
**山本耕平(㈱ダイナックス都市環境研究所代表取締役会長/日本トイレ協会運営委員)
第3章第4節監修
岩本健良(金沢大学准教授)
目次
はじめに
第1章 トイレから読み解くSDGs――17の目標とトイレ
1 SDGsとは何か?
(1)SDGsの概要
【コラム】自分とSDGsはつながっている(弁当を例に考えてみよう)
(2)SDGsからみたトイレへの取り組み
(3)トイレからのアプローチ
【コラム】SDGsを漫画で学べるトイレットペーパーを全国に届けた高校生の活動
2 トイレと人権
(1)人権とSDGs
(2)水とトイレの権利
(3)トイレを利用する権利
(4)トイレを利用する権利とはどのような人権なのか
(5)トイレを人権として考える意味
(6)さいごに
第2章 安全な水とトイレ――トイレなき世界を変えよう
1 安全な水とトイレ――約5億人が野外排泄をしている世界
(1)世界のトイレ事情
(2)トイレがないことのリスク
(3)トイレ革命に取り組む2つの国
2 日本から世界へ――国際社会の取り組みと日本の国際協力
(1)国際社会、国連の取り組み
(2)日本の国際協力
3 世界のトイレ改善活動
(1)一般社団法人日本トイレ協会が先導した、世界のトイレ活動
(2)世界でトイレ活動を行うNGO
(3)日本国内の団体の活動
(4)世界のトイレを救う日本人による身近なアイディア
【コラム】公共トイレ清掃員の性別に対する意識調査
4 日本の技術、ノウハウを活かせ!
(1)トイレのノウハウで「豊かで快適な住まいの実現」へ
(2)排泄物処理剤を使った新しいトイレ(モンゴル、ボリビア)
(3)SDGsの目標達成への貢献について(TOTOグループの場合)
第3章 誰一人取り残さない日本のトイレ
1 「誰一人取り残さない」ということ
2 障害のある人とトイレ
3 女性とトイレ
4 性的マイノリティとトイレ
(1)トイレの課題を理解するための基礎知識
(2)トランスジェンダーの困りごとから、今後のトイレのあり方を考える
(3)性自認にかかわらず、利用しやすいトイレを考える
5 子どもとトイレ
(1)SDGsと「子どもと排泄」
(2)乳幼児期
(3)学童期
(4)教育/便育
第4章 水洗トイレは持続可能か
1 汲み取りトイレと水洗トイレ――エコだった昔のトイレ
(1)下肥として利用してきた時代
(2)明治・大正・昭和期のトイレ
(3)水洗トイレに追いつかなかった下水道
【コラム】温水洗浄便座の普及
2 水洗トイレのその先はどうなっているか
(1)下水道の仕組み
(2)水洗トイレと下水道がもたらす海の汚染
(3)東京湾の水環境の実態とトイレ
3 これからの持続可能なトイレシステム
(1)水資源から考えるトイレ問題
(2)水洗トイレと地球温暖化
(3)持続可能なトイレシステムとは
【コラム】雨水利用の水洗トイレ
おわりに