港の底
細やかな観察と描写で読む者をつかんで離さないジョゼフ・ミッチェル。確かに生きていた人たちの姿を刻印した6編を収録。
- 定価
- 1,980円(本体 1,800円)
- 刊行
- 2017/11/01
- ISBN
- 9784760149193
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 260
- ジャンル
- 文学・エッセイ・ノンフィクション
- シリーズ
- ジョゼフ・ミッチェル作品集(全4巻)
内容・目次
内容
1940年代のニューヨークに生きる人びとの喜びと哀しみを描いた『マクソーリーの素敵な酒場』。雑誌〈ニューヨーカー〉の記者として、街の隅々まで、低い視点から日々の暮らしを眺め続けたジョゼフ・ミッチェルの作品集・第2弾。前巻に引き続き、すべて実在の人物に取材したルポルタージュだが、今巻は、ニューヨークとその近郊の海・川など、水辺に生きる人びとの生活を追う。
ニューヨーク市民たちが口にする魚を獲る、漁船の船長。一年のうちの漁期には漁師になり、それ以外は川の見える場所で働く「リバーマン(川の男)」たち。古いホテルだった建物の一階に店を構える、イタリア料理店の店主。ニューヨークの街にいるネズミを駆除する業者も登場。そして、最後はスタテン島の教会墓地を管理する黒人の老人。今回も、人々の懐にするりと入り込み、様々な話を引き出すミッチェルのジャーナリストとしての腕がいかんなく発揮された作品集。
【著者紹介】
ジョゼフ・ミッチェル Joseph Mitchell
1908年、米国ノースカロライナ州生まれ。1929年にニューヨークへ出て、「ニューヨーク・ワールド」紙、「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン」紙、「ニューヨーク・ワールド・テレグラム」紙に記者として勤める。1938年から「ニューヨーカー」誌のスタッフライターとなり、寡作ではあるが同誌の最も優れた書き手のひとりと謳われた。1996年歿。
【訳者紹介】
上野元美(うえの・もとみ)
英米文学翻訳家。主な訳書に、ハンプトン『F-16 エース・パイロット 戦いの実録』(柏書房)、ウィンタース『地上最後の刑事』『カウントダウン・シティ』『世界の終わりの七日間』(いずれも早川書房)、ベイラー『シアトル式 ココロもカラダもキレイになる究極の食事』、ローゼンバーグ『睡眠の教科書』(ともにシャスタインターナショナル)ほか多数。
目次
エラリー船長ハドソン川の男たち
むかしのホテルの階上にて
港の底
波止場のネズミ
ジョージ・ハンターの墓
解説 新元良一