図書館と江戸時代の人びと
「暴れん坊将軍」吉宗は返却遅延の常習犯! 古代から江戸時代まで、独自の進化を遂げてきた日本の図書館の歴史を語り尽くす。
- 定価
- 2,860円(本体 2,600円)
- 刊行
- 2017/07/24
- ISBN
- 9784760148776
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 288
- ジャンル
- 歴史・地理
内容・目次
内容
実は、聖徳太子の頃から日本には図書館があった! 収集、出納、館外貸出、レファレンス、司書制度……明治時代に「ライブラリー」ができる以前の歴史を掘り起こす。
【著者紹介】
新藤透(しんどう・とおる)
1978年、埼玉県熊谷市生まれ。2006年、筑波大学大学院博士後期課程図書館情報メディア研究科修了。博士(学術)。現在、山形県立米沢女子短期大学准教授、(株)歴史と文化の研究所客員研究員。図書館情報学、歴史学(日本近世史)専攻。
目次
はじめに
第1章 古代・中世の図書館
第1節 古代の図書館
「図書」の語源/漢籍と仏書の伝来/聖徳太子の仏教研究と図書館/図書寮の設置/
図書寮の活動/文殿/宮廷文庫/公家文庫/経蔵/古代の図書館の特徴
第2節 中世の図書館
天皇・貴族から武士へ/武家文庫/学校文庫/寺院文庫/五山版/朝廷文庫/
日記の家/図書の庶民への普及/中世の図書館の特徴
第2章 将軍専用の図書館・紅葉山文庫
第1節 徳川家康の図書文化への関心
家康の文化重視/家康の読書傾向/家康の出版事業/駿河文庫
第2節 紅葉山文庫
富士見亭文庫/富士見亭から紅葉山へ/「紅葉山文庫」の名称/紅葉山文庫の位置/
紅葉山文庫の建物・構造/紅葉山文庫の蔵書目録/紅葉山文庫の分類と蔵書数/
紅葉山文庫の図書収集/紅葉山文庫の蔵書処分
第3節 書物奉行
紅葉山文庫の司書は書物奉行/書物奉行の歴史/書物奉行の仕事内容
第4節 将軍徳川吉宗と紅葉山文庫
将軍就任直前の紅葉山文庫利用/享保元年~同六年/享保七年~同十六年/享保十七年~
延享二年/「図書館」としての紅葉山文庫
第3章 藩校の図書館
第1節 藩校とは何か
藩校の概要/藩校の歴史
第2節 昌平坂学問所と付属文庫
幕臣の学校・昌平坂学問所/昌平坂学問所付属文庫の利用実態/書生寮の寮生活/
久米邦武の教育観
第3節 藩校文庫と「司書」
藩校文庫/藩校文庫の管理職「司書」
第4節 藩校文庫の利用実態
佐倉藩校成徳書院/米沢藩校興譲館/長州藩校明倫館/藩校文庫は「利用」主体/
「利用」重視の背景に、自学自習の教育
第4章 庶民の読書ネットワーク――蔵書家・貸本屋・蔵書の家
第1節 書物史としての江戸時代
書物史から見た江戸期の四区分/初期・古活字版の時代/盛期・出版業の確立/
中期・江戸での出版の隆盛/末期・学術書刊行の隆盛/識字率の問題/
江戸時代における「読者」の増大/庶民の読書スタイル
第2節 都市の書物ネットワーク――貸本屋と蔵書家
貸本屋/蔵書家・小山田与清/与清の活動状況/与清の門生/本の貸借/レファレンス/
会読/抄録・『群書捜索目録』編纂/擁書楼の貸出規制/物見遊山/
蔵書家のネットワークを活用した平田篤胤の著述活動
第3節 村落の情報ネットワーク「蔵書の家」
文字情報による知識・共用/黒船情報入手の実態/「蔵書の家」の中家の蔵書内容/
野中家蔵書の貸借の様子/ほかの蔵書の家の活動/長沢仁右衛門と潺湲舎/庶民の「図書館」
おわりに
事項索引
人名索引