受け継がれる住まい 住居の保存と再生法
家族の場、地域社会の器、職業空間としての日本の住まい。急速な近代化を経て変容してしまったその<継承>の意義を問い直す。
- 定価
- 1,980円(本体 1,800円)
- 刊行
- 2016/09/30
- ISBN
- 9784760147427
- 判型
- A5
- ページ数
- 208
- ジャンル
- 自然科学・建築
内容・目次
内容
なぜ、私たちは住まいや生活、あるいは住環境や地域社会などを継承しなければならないのか。そして、どうやって継承すればいいのか。そもそも継承のためのシステムにはどのようなものがあるのか? 相続や維持・補修など、愛着のある住まいに住み続ける上で必ず直面する問題をさまざまな角度から掘り下げ、克服するための知恵を伝授。
【編者紹介】
住総研「受け継がれる住まい」調査研究委員会
内田青蔵(神奈川大学教授)、小林秀樹(千葉大学大学院教授)、祐成保志(東京大学大学院准教授)、松本暢子(大妻女子大学教授)
目次
はじめに【内田青蔵】 2
第1章 住まいを受け継ぐ達人たち――継承するための多様な試み
旧鈴木成文邸(鈴木信太郎旧宅)【光井渉】
瀬川邸【瀬川昌輝】
佐々木邸 同潤会江古田木造分譲住宅【能登路雅子】
旧安田楠雄邸【伊郷吉信】
旧本多忠次邸【内田青蔵】
豊崎長屋【小池志保子】
上野桜木あたり【椎原晶子】
伊藤邸(旧園田高弘邸)【木下壽子】
求道学舎【近角真一】
第2章 文化遺産としてよみがえる伝統的な住まい――受け継ぐことの意味
1 文化財として保護する意味と役割、そして課題【後藤治】
2 過去の遺物を保存することの社会学的意味【木村至聖】
3 祖父の家を受け継ぐことで考えたこと【村川夏子】
4 日本の住文化教育のいまと課題【碓田智子】
5 住まいが「受け継がれる」ための条件とは【祐成保志】
第3章 日本の「技」と住まいの「誇り」――受け継がれる住文化
6 明治から戦前期の“和洋折衷化”にみられる和の住まい【内田青蔵】
7 郊外の住生活に残る和の要素【梅本舞子】
8 住まいの「誇り」は「和のモノサシ」から【竹原義二】
9 伝統技術の劣化と「ほんまもんの技術」の継承【木村忠紀】
10 受け継がれるべき和の暮らしと作法【松本暢子】
第4章 受け皿をつくる――受け継ぐための社会的システム
11 谷中界隈の暮らしと伝統建築を受け継ぐためのシステム【椎原晶子】
12 住宅遺産トラストによる継承・活用システム【木下壽子】
13 立体京町家・堀川団地の「やわらかい再生」【髙田光雄】
14 求道学舎、集合住宅への再生の試み【近角真一】
15 建物の価値を確認する「住まいの履歴書」づくり【内田青蔵】
Column 信託を用いた建物の保存・利用継続の可能性と課題【田村誠邦】
むすびにかえて――なぜ古い住まいを受け継ぐのか【小林秀樹】
謝辞
索引