柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

映画教育/活映 復刻版 第Ⅰ期 (全9巻)

映画のみならずラジオ・テレビ・視聴覚教育といったメディア史の「空白部分」が明らかとなる伝説の雑誌!

定価
209,000円(本体 190,000円)
刊行
2014/05/01
ISBN
9784760143610
判型
B5
ページ数
3,200

内容・目次

内容

戦前日本を代表する総合メディア企業・大阪毎日新聞社が主導した「ポスト活字」運動の軌跡を記録した雑誌『映画教育』( 一時期『活映』と改称)全183 号(1928 ~ 19 43)を全4期で完全復刻!


本資料集の特長
(1)メディア史のなかのSF的想像力(センス・オブ・ワンダー)の遺産としての、20世紀のポスト活字論
(2)豊かな活映人脈をベースにした多彩な寄稿者(別掲参照)
(3)映写機の普及状況、文部省の映画政策、各学校・各都道府県の映画教育実施状況、その他数字データも多数収録、教育改革の生きた資料として参照可能
(4)プロパガンダ映画の代表作『非常時日本』の謎ときとなり、戦時期メディアとプロパガンダ研究に一石を投じる
(5)プレ満州映画協会(満映)時代に光を当て、満州映画史の空白を埋める
(6)豊富なデータに裏付けられた巡回映写運動の基礎的資料。戦後視聴覚教育運動への架け橋ともなる
(7)映画史研究者のみならず、ラジオ、テレビ、視聴覚教育など、比較メディアの観点から様々なメディア研究者が利用可能。学部生の卒業論文にも使える内容


※寄稿者の一例
水野新幸、本山彦一、乗杉嘉壽、中田俊造、橘高広(立花高四郎)、石巻良夫、松平覚義、青地忠三、権田保之助、海野幸徳、巌谷小波、大妻コタカ(大妻学院設立者)、古屋登代子(古屋女子英学塾長)、永井郁子(挿絵画家)、厨川蝶子、与謝野晶子、柳原白蓮、三宅やす子、帰山教正、村田実、村山知義、坪内逍遙、賀川豊彦、村嶋帰之、袋一平、桜井忠温、大藤伸郎、大林宗嗣、駒田好洋、北尾鐐之助、北山清太郎、原田三夫、西村真琴、波多野完治、城戸幡太郎、板垣鷹穂、関野嘉雄、岩崎昶、有馬頼寧、谷本富、鳩山一郎、紀俊秀


『映画教育』『活映』とは
  本誌『映画教育』は、「紙」をこの世から消滅させようとしたポスト活字論者・水野新幸(大阪毎日新聞社活動写真班主務)を中心に、活字文化に代わるものとして活映文化の到来を予測し、ニューメディアの未来予想図を提示しました。その意味で、今日の「活字からウェブ」をめぐる議論を先取りしており、メディア史研究に新たな視座を与えてくれます。本誌は、本山彦一、乗杉嘉壽ら忘れられた辺境メディア人や波多野完治、城戸幡太郎ら児童心理学の専門家、荒俣宏『大東亜科学綺譚』で紹介された科学啓蒙家・原田三夫と万能科学者・西村真琴、さらには権田保之助、巌谷小波、与謝野晶子、村山知義、坪内逍遙、賀川豊彦、村嶋帰之など著名人も多数寄稿しており、豊かな活映人脈をベースに刊行が毎月継続されました。
  水野は、教科書の代わりとなる「テキスト・フィルム」を無償で配布し、貧困層の教育機会拡大につなげようというアイディアを披露しています。これは、電子書籍などのタブレット端末を利用したICT(Information and Communication Technology)教育の発想とまったく同じものです。映写機の普及状況や文部省の映画政策、各学校・各都道府県の映画教育実施状況、戦後視聴覚教育運動への架け橋ともなった巡回映写運動の基礎的データなど、豊富な数字データとあわせて、今日の教育史研究に十分応用可能な内容です。
  日本から満州へと活躍の場を移した水野は、大毎出身者とともに満州で活映教育の実験を繰り返しました。これがのちの満州映画協会(満映)、さらには戦後日本のアニメ映画の礎となっていきます。本誌により、プレ満映時代の満洲映画史の「空白部分」が埋められることでしょう。
  さらに、東京裁判で証拠資料として上映された『非常時日本』は、戦時期を代表するプロパガンダ映画として知られていますが、そこには、活字に取って代わる次世代メディアへの期待が込められていました。本誌は、この作品の謎を解き、戦時期メディアとプロパンガンダ研究にも一石を投じます。本誌の今日的意義を明快に示す懇切丁寧な解説を付し、広範な分野の研究者にはもちろんのこと、学部生の卒業論文にも使える汎用性の高い資料です。


★内容を紹介したパンフレットがこちらよりダウンロードできます。