季刊 東北学 [第2期・第23号(2010年春)] 特集:遠野物語百年
幾重にもひき裂かれた書物『遠野物語』を読み解く
- 定価
- 2,096円(本体 1,905円)
- 刊行
- 2010/05/01
- ISBN
- 9784760138401
- 判型
- A5
- ページ数
- 286
- ジャンル
- 政治・経済・社会・教育・民族
内容・目次
内容
今年百歳を迎える『遠野物語』は文学と民俗学のはざまで曖昧に漂うことを強いられてきた。それゆえに、柳田国男のすべての仕事は『遠野物語』の解読のためにこそ存在した――という山折哲雄氏の言葉がとりわけ異形の輝きを帯びてくる。きっと、これから百年後にも『遠野物語』は古典として読み継がれているかもしれないが、そこにはもはや、民俗学という学問は存在していないかもしれない。今号の特集は「遠野物語百年」。
目次
論考・開かれた<野の学> 遠野物語・郷土研究・一国民俗学 永池健二
・『後狩詞記』『遠野物語』と坪井民俗学 小川直之
・『後狩詞記』から『遠野物語』への道行き 柳田民俗学の豊穣と不幸 川野和昭
・『遠野物語』のオシラサマ 内藤正敏
・明治四十三年の『遠野物語』 奇妙な「作者」の誕生 川野里子
・『遠野物語』からみた意識のありかたについて 河合俊雄
・『遠野物語』と心理療法~異界につながる物語の力 岩宮恵子
・『遠野物語』にみる動物観 人からの距離 三浦佑之
・『遠野物語』に描かれた自然と人間 今石みぎわ
・柳田国男のスイス 山、川、そして郊外 岡村民夫
・狩猟文化研究、その百年の孤独 田口洋美
・「国日記」にみる弘前藩の猟師~『後狩詞記』を起点にして 村上一馬
連載
・稲垣尚友「東シナ海の古層」
・木村 文「アジアの風の中で」
・金 利恵「あの頃のこと」
・高光敏「済州島の民俗」
・李恵燕「モノからみる韓国」
・内藤正敏「写真曼陀羅