清掃魔
生理に迫る震撼、殺人者の心理を執拗に描きこんだ悪徳スリラー。
- 定価
- 1,870円(本体 1,700円)
- 刊行
- 2008/10/01
- ISBN
- 9784760134717
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 422
- ジャンル
- 文学・エッセイ・ノンフィクション
内容・目次
内容
ニュージーランド第二の都市クライストチャーチを恐怖のどん底に叩き込んでいる無差別連続殺人事件。女性ばかりを狙い、暴行の上、残殺するその手口から、メディアは犯人をクライストチャーチの肉切り人[カーヴァー]と呼び、連日のように事件をセンセーショナルにあおり立てていた。
じつはカーヴァーの正体は、警察署に勤める気のいい清掃員のジョー。ちょっぴり頭の足りない彼は、その無邪気な笑顔と言動で署内の人気者だった。だが実際の彼は、達者な演技で巧みに知的障碍者を装いながら、警察内部で密かに捜査情報を集める知能犯なのだ。
彼はこれまでに7人の女性を殺害したとされていたが、じつはその内の一件は、彼自身あずかり知らぬもの。何者かが、殺人鬼クライストチャーチ・カーヴァーに罪を被せようとしたのだ。怒ったジョーは独自に捜査を開始する。この模倣犯の正体を突き止め、願わくばそいつに、他の全ての罪を押しつけてやるために。その時ジョーは、模倣犯探しが、自らの首を徐々に締め上げていくことになるとは、露とも考えていなかった・・・・・・。
本書は、ニュージーランド出身の新進スリラー作家、ポール・クリーヴの処女作 The Cleaner の邦訳である。2006年に発売されるやいなや、ニュージーランドとオーストラリアでベストセラーとなり、雑誌『NZリスナー』の同年度ベストブックに選出。また、オーストラリアで権威のある推理小説専門の文学賞「ネッド・ケリー賞」のベスト・フィクション部門とベスト・ファースト・フィクション部門にノミネート。
その後、本書はドイツ語に翻訳され、Der Siebte Tod(七番目の屍体)の表題で2007年4月に刊行。同年末までに実売20万部を越え、2007年アマゾン・ドイツで最も売れたスリラーとなる。
物語のほとんどを、殺人犯の心理と視点を軸にしたモノローグと会話から描いた本書は、新しいタイプの心理スリラーとして、一部読者を選びつつも各国で高い支持を得ている。
また、登場人物の個性も際立っており、善意の押し付けが鬱陶しい同僚の女性サリー、謎の悪徳美女メリッサ、過干渉ぶりがものすごいジョーのママなど、読むものを飽きさせない。