柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

季刊 東北学 [第2期・第5号(2005秋)] 特集〈里山・里海――暮らしの中の山と海〉

創刊2年目に突入!ますます内容充実、読める本格派です

定価
2,096円(本体 1,905円)
刊行
2005/11/01
ISBN
4760128492
判型
A5
ページ数
320

内容・目次

内容

「ひとつの日本」から「いくつもの日本」へ。1999年山形の地よりその産声を上げ、「汝の立つ所を深く掘れ、そこに泉あり」(伊波普猷)を座右の銘に、従来の地域学に革新をもたらしてきた「東北学」。それから5年、今や全アジアに張り巡らされた地下水脈が、新しい装いとともにその姿をあらわすときがやって来ました。第5号の特集は「里山・里海―暮らしの中の山と海」。昔からある自然との共生の中に、治山治水の技術や、資源利用の伝統や、動物保全の本質を探る。里山ブームとは一線を画す、読みごたえ十分の評論・ルポ多数。


目次

座談会:里山・里海の民俗システム―人間と自然との関係の変容と新たな創出           秋道智彌・野本寛一・赤坂憲雄・田口洋美


特集:里山・里海――暮らしの中の山と海

  〈論考〉

  ○里山

 〈人為の加わった森〉の環境史(池谷和信)

 里山環境のフィールドワーク――鳥取県匹見町の限界集落調査から(笠松浩樹)

 日本人と野生動物――予期される混乱について(羽澄俊裕)

 森林に追い上げたニホンジカの問題(古林賢恒)

 近代における市場経済化と生業の変化――信濃秋山郷に見られる人為的圧力の後退を中心に(田口洋美)

 湖北農村の生活と山林(岸本誠司)

  ○里海

 離島生活の論理――クチモライ・ヤリモライ慣行をめぐって(小島孝夫)

 繰り返されたアザラシの利用――知床の里海文化(宇仁義和)

 丹後袖志冬物語――海の紙漉き「岩ノリ漉き」(井之本 泰)

 アンバサンに見られる里海の記憶――宮城県牡鹿半島寄磯浜をフィールドから(ヨハネス・春水・ウィルヘルム)

 韓国の里海利用の慣行――ワカメ漁場を中心に(李 善愛)


  ○個別論考

 風土形成序説――浪江町の風景を読むことを通して(廣瀬俊介)

 

   〈エッセイ〉

 『遠野物語』のもつ意味(饗庭孝男)

 そして鬼は降る(高山文彦)


連載:

 日本民間信仰史研究序説② 山の民・川の民――井上鋭夫批判を中心に(谷川健一)

 済州島の民俗⑤ 山房山――薪・材木・牧草、そして放牧について(高 光敏(李 恵燕・訳))

 風土の旅人たち⑤ 岡本太郎/沖縄、ひとつの恋のような(中)(赤坂憲雄)

 内藤湖南への旅⑩ 『文明の生態史観』以後――梅棹忠夫の仕事(粕谷一希) 

 鉄よ!⑨ 日本近代製鉄の父・大島高任(橋本克彦)

 ラオス 山からの伝言⑤ モン 口承の世界 2 「みなしごと殿様」(安井清子)

 

東北学の窓:

 御巣鷹の死者は何を愬えかけているか?(時評)(中村生雄)

 世界史的視野から見た日本の「発見」者たち(書評)(佐藤宏之)


口絵:グレートジャーニー[人と文化の間⑤]

   極北の犬たち(関根吉晴)


読者から:杉本仁氏の論考について(谷川健一)

     「娘身売り」問題をどう考えるか(山下文男)


    執筆者一覧

    編集後記

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