わがユダヤ・ドイツ・ポーランド マルセル・ライヒ=ラニツキ自伝
戦後ドイツを代表するユダヤ系評論家の傑作バイオグラフィー
- 定価
- 6,270円(本体 5,700円)
- 刊行
- 2002/03/01
- ISBN
- 4760122036
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 508
- ジャンル
- 文学・エッセイ・ノンフィクション
内容・目次
内容
ポーランドに生まれたユダヤ人としてワルシャワ・ゲットーを生き延び、戦後はドイツで最も著名な文芸評論家として活躍を続けるライヒ=ラニツキ。本書は、苦難の生を強いたドイツを憎みながらも、ドイツ文学への深い愛情を率直に表明する彼の、波乱に満ちた自伝であり、同時代史の証言である。本書で展開されるブレヒト、ハインリヒ・ベル、ギュンター・グラスその他数多くの作家との交流史は、そのまま戦後ドイツ文学史となっている。各紙誌が絶賛したドイツの大ベストセラー。
▼ マルセル・ライヒ=ラニツキ=1920年生まれ。戦後西ドイツに移住し、『ツァイト』『フランクフルター・アルゲマイネ』等の有力紙を舞台に文芸評論家として頭角を現す。TV番組「文学カルテット」(1988~2001年)では文学作品を広く一般に紹介した。邦訳には、彼の編集による全三巻のアンソロジー『狂信の時代・ドイツ作品集』(学芸書林、1969年)がある。
目次
第一部1920-38年 あなたはいったい何者?
文学に開眼するまで
魂に役立つケストナー
文書を敬う民
成果のあがらなかった人種学
いくつかの恋物語がいっぺんに
逃避に打ってつけの劇場
うれしい悩ましさ
次の間へ通じるドアー
見えない手荷物をたずさえて
第二部1938-44年
ポーランド詩と開戦と
気ばらしはユダヤ人狩り
死者とその娘
伝染病封鎖区域からゲットーへ
道化のセリフ
音楽が愛の糧であるならば
ウィンナ・ワルツをバックに死刑宣告
インテリ・殉教者・ヒーロー
真新しい鞭
秩序・衛生・紀律
ボレクに聞かせた物語
第三部1944-58年
最初にして最後の発砲
ライヒからラニツキヘ
ブレヒト、ゼーガース、フーヘルほか
ヨーゼフ・K、スターリン、H・ベル
研修旅行のてんまつ
口ひげのすごい若者
第四部1958-73年
ドイツ人と認められ
「グルッペ47」とそのファーストレディ
ヴァルター・イエンスあるいは友情論
生き甲斐としての文学
カネッティ、アドルノ、ベルンハルトほか
火薬工場と計算機
第五部1973-99年
いかがわしい主賓
詩作に通路を
執務時間中だけ天才
魔術師の家族
マックス・フリッシュあるいはヨーロッパ文学そのもの
メニュインと「文学カルテット」
フェスト、ヴァルザーと「禁猟期の終り」問題
夢だわ…
謝辞
略年譜・著作目録
訳者あとがき
人名索引