聖戦の歴史 十字軍遠征から湾岸戦争まで
聖都エルサレムをめぐる三宗教の歴史的相関性を詳述
- 定価
- 4,180円(本体 3,800円)
- 刊行
- 2001/03/01
- ISBN
- 4760120548
- 判型
- A5
- ページ数
- 340
- ジャンル
- 哲学・宗教・心理
内容・目次
内容
ユダヤ教、キリスト教、イスラームという三宗教にとっての聖地であるエルサレムは、数世紀におよぶ十字軍遠征を契機に幾多の歴史的変遷をとげた。筆者は、これまでのキリスト教=西洋の自文化中心的な「二つの見方」による歴史的対応や認識に疑義を呈し、三宗教それぞれの立場と視点から複眼的に考察する「三つの見方」を提唱。その見方が歴史認識だけでなく、湾岸戦争をはじめとする現代の中東諸問題を考えるうえで、「新しい観察眼」をあたえることを明らかにする。中東をめぐる今日的問題にまで切り込んだ意欲作である。
▼塩尻和子(しおじりかずこ)=筑波大学助教授。専門は比較宗教学・イスラーム思想。
▼池田美佐子(いけだみさこ)=光陵女子短期大学専任講師。専門は中東近代史。
目次
凡 例序 文
理解と平和へ向かう旅のために
著者註
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第1部 歴史的展開
第-章 なぜ聖戦が始まったのか
聖戦のパターン/叫神との契約――聖戦の元型/神の国の戦闘/イスラームのジハード
第2章 十字軍のはじまり――新たなキリスト精神の希求
西洋精神の改革/聖地巡礼の熱狂/神の平和と騎士道/十字軍の召集/よみがえった聖戦
第3章 今日の紛争――ユダヤ人とアラブ人の新しいアイデンティティーの模索/ユダヤ人/アラブ人
第2部 聖 戦
第4章 十字軍とジハード(1096年~1146年)
動機と理想/恐怖と苦悩の記録/アンティオキアの苦闘/貧者の栄光と奇跡/エルサレムの殺戮/キリストの騎士団/無視されたジハード/ジハードの再認識
第5章 サダト大統領の死――聖戦と平和
ジハード放棄者の暗殺/ナセルとサダト/スンナ派とシーナ派の対立の始まり/ホメイニーのイラン革命/「フサインの物語」の意味するもの/サダトの計算ちがい/ジャマーアート・イスラミーヤの役割/シュクリーの出
現/サダトの「平和への旅」/アラブ世界からのエジプトの追放/学生の反抗/サダト暗殺以後
第3部 十字軍と西洋のアイデンティティー
第6章 1300年から現在まで――西洋における新しい十字軍
スペインでの三つの出来事/ヨーロッパでのユダヤ人への迫害/ルターの思想/清教徒とユダヤ教徒/理性の時代のイスラーム像/西洋のイスラーム支配/イギリスのユダヤ人政策/『ダニエル・デロンダ』/ワーグナー・ニーチェ・ヒットラー/バルフォア宣言とシオニズム
終章エピローグ――三つの見方
聖地への愛着/教会の鍵/対話と共存を求めて
訳者あとがき