柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

大衆動員社会

国際比較研究で戦時下の日本を解剖する

定価
4,840円(本体 4,400円)
刊行
1999/10/01
ISBN
4760118276
判型
ページ数
288

内容・目次

内容

戦時下の日本は、婦人、青年、労働者、地域住民それぞれを独占的「大衆団体」に組織し、戦時動員体制を作り上げた。これらは一見日本独特のもののように見えるが、実はそうではない。ファシスト下のドイツ、イタリアさらにソ連あるいは数多くの軍事政権下の国々にきわめて類似した機能をもつ「大衆団体」が見出される。それらは相互に関連、触発しあい組織された。中国、旧ユーゴ、エジプト、ペルーなどの諸例も丹念に調べ上げ、まったく新しい視点と手法による比較政治史研究として日本の学界、思想界にも大きな波紋を呼ぶだろう。


目次

日本語版に寄せて/謝辞/概観第1章 定義と歴史的起源

政党、利益団体および被管理大衆団体―機能上の違い/政権と被管理大衆団体/戦争と被管理大衆団体の起源

第2章 構造

設立、解散および法的位置づけ/事務局構成/大衆の加入/団体加入の態様/役職者の選出――軍官政権の場合/役職者の選出――一党独裁政権の場合/財政

第3章 自主的団体に対抗するための武器

物質的依存/時間の消費/忠誠宣誓式/栄典/支持者の組織的利用/擬似政治/地方レベルにおける自主的参加/国家暴力と被管理大衆団体―政権による統制の戦略/参加、人気および正当性問題

第4章 戦争遂行のための武器

ナチ政権下のドイツ―ヒトラー青少年団とドイツ「労働戦線」/日本―婦人会と隣組/ドイツおよび日本における被管理大衆団体の発展の比較

第5章 社会経済的変革のための武器

右翼方式―イタリアの経済シンジケート連合/レーニン主義方式―ソ連の労働組合の場合/権限共有方式/権限共有の教訓

第6章 国政における被管理大衆団体

国レベルでの積極的行動性を妨げる要因/国レベルにおける自主的活動の例

第7章 政治イデオロギー上の被管理大衆団体

ファシスト政権下のイタリア―国家サンジカリズム/戦時下の日本―革新/ソ連―マルクス=レーニン主義/エジプト―アラブ社会主義

結論

経験的政治理論における被管理大衆団体/被管理団体の遺産/道徳的評価

付録――被管理大衆団体を利用した他の政権