諍いだらけの室町時代 戦国へ至る権力者たちの興亡
足利将軍家・鎌倉公方家の抗争、守護家の家督争奪戦、台頭する守護代辰による下克上……複雑にして怪奇な紛争の数々で読み解く室町!
- 定価
- 2,200円(本体 2,000円)
- 刊行
- 2022/06/23
- ISBN
- 9784760154647
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 284
- ジャンル
- 歴史・地理
内容・目次
内容
「享徳の乱」「応仁・文明の乱」など戦国時代の扉を開いたとされる大乱をはじめ、室町時代には、将軍家・鎌倉公方家・関東管領家の抗争や、守護家内部での家督争い、「下克上」の象徴ともいえる守護代層による権力掌握など、数々の紛争がいたるところで勃発していた。
絶対的権力の不在による混沌を背景にした衝突と和睦の連続は、室町という時代を、実に複雑怪奇に彩ると同時に、ダイナミズムに溢れたものとしているのである。
本書は、この混乱に満ちた時代の中で、権力者たちがいかに繁栄、あるいは没落していったか、そしてのちの戦国の世がどう形成されていくことになったのかを、豊富な概念図や系図をまじえて解説する一冊。
【目次】
はじめに
第一部 将軍家・鎌倉公方の内訌
第二部 守護家の勢力争いと、その明暗
第三部 下克上のはじまり、台頭する守護代
おわりに
【編者紹介】
渡邊大門(わたなべ・だいもん)
1967年神奈川県生まれ。佛教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、株式会社歴史と文化の研究所代表取締役。主な著書に、『戦国誕生中世日本が終焉するとき』(講談社現代新書)、『逃げる公家、媚びる公家――戦国時代の貧しい貴族たち』『戦国の貧乏天皇 』『人身売買・奴隷・拉致の日本史』『戦国大名の戦さ事情』『豊臣五奉行と家康』(以上柏書房) 、『関ヶ原合戦は「作り話」だったのか? 一次史料が語る天下分け目の真実』(PHP新書)、『明智光秀と本能寺の変』(ちくま新書)、『清須会議 秀吉天下取りのスイッチはいつ入ったのか?』(朝日新書)、『関ヶ原合戦全史 1582-1615』(草思社)、編著書に、『虚像の織田信長 覆された九つの定説』『戦乱と政変の室町時代』(以上柏書房)、『考証 明智光秀』『関ヶ原合戦人名事典』(以上東京堂出版)など多数。
目次
はじめに
第一部 将軍家・鎌倉公方の内訌
足利義政と足利義視の後継争い――歴史の転換点としての権力分裂劇 古野 貢
古河公方と関東管領の権力闘争――関東支配における二元構造 千葉篤志
上杉四家の関東支配をめぐる争乱――戦国への幕開けを導いた関東の紛争 駒見敬祐
第二部 守護家の勢力争いと、その明暗
斯波義敏と斯波義廉の内訌――守護代の台頭に翻弄された名門の没落 小久保嘉紀
畠山義就と畠山政長の抗争――政局を左右した両畠山家の家督問題 川口成人
富樫氏の加賀支配をめぐる紛争――斯波氏・赤松氏を巻き込んでの暗闘 石田文一
六角氏と京極氏の興亡と明暗――戦国初期の複雑な内紛と分裂 小池辰典
赤松氏と山名氏の守護権争奪戦――争いに見る守護権力の変質と衰退 渡邊大門
細川政元の暗殺と京兆家分裂――管領家の抗争が与えた幕政への影響 浜口誠至
第三部 下克上のはじまり、台頭する守護代
多賀高忠と浦上則宗の台頭――主家を凌ぐ実力を持つ守護代の出現 渡邊大門
朝倉孝景に見る戦国大名の兆し――「応仁・文明の乱」帰趨を決した行動 功刀俊宏
尼子経久の勢力拡大と権力簒奪――幕府を巧みに利用した「下克上」 西島太郎
伊勢宗瑞による下克上の虚と実――「正統的」風雲児としての「北条早雲」 秦野裕介
おわりに