アメリカ合衆国 対日政策文書集成 第Ⅸ期 (全9巻) 日米外交防衛問題1965年
米公文書館資料を独自の索引付きで集成
- 定価
- 242,000円(本体 220,000円)
- 刊行
- 2001/11/01
- ISBN
- 4760121617
- 判型
- A4
- ページ数
- 3,016
- ジャンル
- 資料集・史料集・地図
内容・目次
内容
安保改定期をあつかった第7期までに続く本シリーズは、これまでの成果を引き継ぎ沖縄返還問題が通奏低音のように流れる1964年(第8期)から1972年(第16期)までを対象とし、米国公文書館収蔵の国務省文書によって、日米関係の実態を明らかにする。1964年、東京オリンピックが開催され、東海道新幹線が開通し、IMF8条国移行やOECDへの加盟を果たし経済成長のただ中にある日本では、佐藤政権が誕生し、沖縄返還に向けての動きが始動した。ベトナム本格介入に向かうアメリカは、力をつけてきた日本をどのように見ていたのか。
「領土問題の解決なくして戦後は終わらない」と沖縄返還を最大の政治課題として1964年11月、政権の座についた佐藤栄作首相は、翌年1月に訪米し、米首脳との直接交渉を開始し、沖縄返還交渉を本格化させた。このときの470ページに及ぶ詳細な佐藤訪米会議録をはじめとする文書によって、1965年の日米交渉の暗部を明らかにする。
佐藤首相は同年8月・戦後初めて首相として沖縄の地を踏むが、本書収録文書からは、米国が神経をとがらせ、首相が読み上げる草稿にまで細かく目を通し、注文をつけていたことがわかる。また11月に予定されている琉球立法院の選挙で・沖縄の保守派を勝たせるための秘密資金を手渡す米国の策略、さらに佐藤首相がライシャワー駐日大使に日本が核兵器を保有すべきと述べていたことも資料によって裏付けられる。
1965年は2月に北爆が開始され、ベトナム戦争が拡大した年でもある。米国の方針に賛意を示した日本人の発言も見てとれるが・日本の世論はベトナム戦争に批判的であり、経済成長が軌道に乗り国力がついてきたこともあって、「独自外交」の姿勢も強まり、ことに民間航空については「イコール・パートナーシップ」を求めて協定の改定が行われ・ニューヨークからの以遠権を獲得、念願の世界一周が可能になるなどの経済交渉の細部も浮かび上がる。