子どもと大人が出会う場所 本のなかの「子ども性」を探る
大人にも、大切な子どもの部分、がある。子どもと大人はどうすればわかりあえるのか。
- 定価
- 3,300円(本体 3,000円)
- 刊行
- 2002/09/01
- ISBN
- 4760122648
- 判型
- 四六判
- ページ数
- 320
- ジャンル
- 文学・エッセイ・ノンフィクション
内容・目次
内容
埋もれていた「子ども性」Childnessを掘り起こし、新たな機能を与え、「児童文学とはいかなる文学か」という難問に果敢に取り組んだ、刺激的論考(Signs of Childness in Children,s Books 1997)を全訳紹介します。
目次
日本の読者の皆様へ
児童文学とは何かを明らかに―子ども本の「子ども性」のしるし(猪熊葉子)
第1章 子どもの文学の独自性
女性文学と子どもの文学の比較/子ども時代をどう考えるか/フィクションのなかで構築される子ども時代/子どもの文学の独自性/1章のまとめ
第2章 子どもの文学とは何かその定義
ピーター・ハントによる定義とその問題点/子どもの文学を位置づける―作家たちの言い分/子どもの文学の定義リスト/定義6の有効性―「子どもの文学」と「人の子どもの文学」の違い/筆者が提案する「子どもの文学」の定義/筆者の定義の長所と補足/補足(1)子ども時代はいつ終わるのか?/補足(2)子ども時代は大人になっても生き延びるか?/補足(3)子どもの本を読む大人は逃避主義者か?/「子どもの文学」と「子どもの読み方」の三つの特徴―「子ども」だけにかかわる問題か?/2章のまとめ
第3章 批評用語「子ども性」の提唱
英語に欠けている概念の発掘―「子ども性」/「子ども性」という語の意味/子どもの子ども性/大人の子ども性/テクストの子ども性/批評用語としての「子ども性」/子どものありようを表現する語彙の貧困さ/「子ども」の概念にひそむ問題点―「子どもらしい」という語を手がかりに/作家がテクストにもち込む子ども性―アーサー.ランサムの場合/「子どもの子ども性」と「テクストの子ども性」の断絶/子どもにかかわる仕事に欠かせないこと―子ども性の再想像/青春期の文学/3章のまとめ
第4章 記憶と語り1自伝としての子どもの本
直線的な語り/記憶と子ども時代/記憶が紡ぐ物語/自伝としての子どもの本/4章のまとめ
第5章「子ども性」のしるし―作品分析の方法など
「子ども性」の多様さ/「子ども性」の概念を明確化するためのさまざまな問い/「テクスト」と「読むという行為」―子どもの文学は一般文学から分かたれるか否か/「テクストの子ども性」と「読者の子ども性」/テクストのなかの「子ども性」を探る/五章のまとめ
第6章テクストとその子ども性
子ども不在の子ども性/「子どもの文学」と「子ども時代の文学」/子ども性の再想像/6章のまとめ
第7章「若者だけが、そのような瞬間をもてる」
青春期とその文学/成長の二重性―「子どもでいること」と「大人になっていくこと」/「青春期の文学」の代表的な二つの主題/七章のまとめ
用語解説
索引