柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

CD-ROM版・731部隊資料集成

細菌戦の戦争犯罪はどのように隠蔽されたか?

定価
55,000円(本体 50,000円)
刊行
2003/11/01
ISBN
4760124047
判型
ページ数
5,100

内容・目次

内容

1947年1月、ソ連は東京裁判の国際検察局を通じてアメリカ軍に旧日本陸軍細菌戦部隊幹部3人の尋問を要求してきた。提出された証拠資料によって初めてアメリカ側は731部隊による人体実験・中国への細菌戦の事実を知る。本国より派遣された専門家による密かな追及、同時に進められるGHQ・法務局の戦犯容疑者の捜査、天皇の戦犯訴追を懸命に回避しようと詭弁を弄する政府高官たち、緊張をはらんだ米ソの冷戦を巧みに利用しながら石井四郎隊長は戦犯免責を条件に研究成果の提供を申し出る。はたしてこれを受け入れるべきかどうか、マッカーサー司令部と本国3省調整委員会とで数ヶ月に及んで繰り広げられた激しい応酬の内容や、取引成立の結果どのような研究データがアメリカ側の手に渡ったかを本書収録の文書がつまびらかにしている。新発見の史料を含め、これまでに知られた731部隊に関連する英文文書が網羅されている。


【本書の特徴】
1. 細菌戦の戦争犯罪をめぐる日米それぞれの動き、裏取引成立の経緯が克明に解明される
2. 解剖レポートがナマのまま復元されるのでペスト菌・炭疽菌・鼻疽菌の人体感染の実態が明らかになっている
3. 生物戦研究の現状、医学倫理を検討する上で基本的な問題点を提示している
4. 日米関係・戦争犯罪問題・医学史研究の飛躍に貢献する貴重な原史料が公開される
5. アメリカとイギリスの公文書館、議会図書館、マッカーサー記念館に保管されている関連文書が一堂に収集されている
6. 日本帝国政府情報公開法による調査機関lWGによって最近新しく発見された史料を含む
7. 重要な史料には編者が1点ごとに簡単な解説を付した


【編者略歴】
近藤昭二 1941年生まれ。ジャーナリスト、脚本家・ディレクターとして現代史・司法関係の作品が多い。細菌戦裁判(2002年8月東京地裁判決)で隠蔽問題の鑑定証人。主な作品にテレビ「今も続く細菌戦の恐怖」(ギャラクシー賞)、映画「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」(ATG)、著書『月蝕の迷路――徳島ラジオ商事件』(文塾春秋)、『細菌戦部隊』(共編、晩聲社)、訳書『死の工場隠蔽された731部隊」(柏書房)などがある。


目次

資料No 資料名1 発覚細菌兵器の使用か

2 中国のペスト事件

3 捕虜・押収品からの情報

4 日本と生物戦」

5 北條圓了の論文

6 ギデス報告書

7 特別プロジェクト定期情報レポート」

8 日本軍の生物戦」

9 マレー・サンダースの調査

10 マレー・サンダース・レポート

11 マレー・サンダース・レポート補遺

12 トンプソンらによる石井・北野たちの尋問

13 生物戦一諸外国の活動と能力

14 アーヴォ・トンプソン・レポート

15 石井四郎ファイル

16 ジョージ・W・マーク・レポート

17 GHQ法務局の調査

18 東京裁判未提出記録

19 東京裁判公判記録

20 ソ連からの要求

21 柄澤十三夫・川島清調書

22 SWNCC351関係マッカーサーと三省調整委員会の応酬

23 ノバート・H・フェルの調査

24 北野政次の提出文書

25 ノバートH・フェル・レポート

26 細菌戦調査レポートの写し

27 亀井貫一郎の役割

28 T・B・イングリス・レポート

29 “Q”レポート第1分冊

30 “Q”レポート第2分冊

31 “A”レポート

32 “G”レポート

33 エドウィン・V・ヒル・レポート

34 増田知貞の論文

35 ダグウェイ文書

36 バロフスク公判書類(英文版)

37 ソ連での捕虜の動静

38 国際科学委員会の調査報告書

39 退役軍人問題委員会の公聴会議事録

40 ロバート・ピーティー少佐の日記

41 ウィリアム・R・ギル大尉の手記