柏書房株式会社KASHIWA SHOBO

ホロコースト最年少生存者たち 100人の物語からたどるその後の生活

10カ国以上の史料とインタビューをもとに、かつて「幸運」とされた10歳以下のホロコースト生存者たちの戦後を描く画期的研究。

定価
3,080円(本体 2,800円)
刊行
2021/08/24
ISBN
9784760153916
判型
四六判
ページ数
444
ジャンル
歴史・地理

内容・目次

内容

★2021年ウルフソン歴史賞候補作品★


“私たちは、ホロコーストとその影響をいまだ十分には理解していない”(序章)
記憶も、名前も、家族に対する愛着も持ち得なかった者が、自分の人生を取り戻すことなど可能なのだろうか?支援機関のファイル、養護施設の記録、精神科医の報告書、未公開の回想録など、10カ国以上の史料とインタビューをもとに、かつて「幸運」とされた当時10歳以下の子どもたちが経験した「戦後」を描く画期的研究。貴重な写真も27点収録。


■章立てと抜粋
第1章 もう一つの闘いの始まり
“私のなかて?闘いか?始まったのは、1940年て?はなく1945年なんた?”(モーリッツ・C)


第2章 大人の視点
“私か?泣くなと言うと、その子はこう答えた。「それならと?こて?泣けは?いいの?」”(あるボランティアのメモ)


第3章 引き取られる子どもたち
“と?こにも居場所か?ない、自分を大切に思ってくれる人か?いないという感覚た?った”(ローベルト・B)


第4章 家族との再会
“誰かが「お父さんの膝の上に乗せてもらったら?」と言うから、父の膝の上に座ったんた?か?、と?こか感し?か?違った”(アンリ・O)


第5章 ヴォセル館の子どもたち
“ドイツ兵は…少女をトラックに引っ張り上け?て射殺した。その話を聞くたひ?に私たちは思った。わあっ、なんてすてきな物語なのって”(フェリーツェ・Z)


第6章 変容
“なせ?もっと早く教えてくれなかったの?真実を知らされるのはいつもほかの人からだ!”(ジャッキー・Y)


第7章 トラウマ
“あの人たちは実験のために私たちを一緒にしていたのか?ト?イツ人か?私たちを使ってあれた?け実験していたのに、また?足りないというのか?”(デニー・M)


第8章 幸運と言われた生存者
“40歳になるまで、普通になろうと必死た?った”(ツィラ・C)


第9章 ホロコースト生存者になる
“す?っと孤独た?ったの。…大勢か?殺されたから”(シ?ャクリーヌ・R)


第10章 それぞれの物語
“記憶か?は?らは?らなんた?。それを使って物語を紡き?あけ?ようなんて無理た?よ”(デニー・M)


第11章 沈黙
“て?きるた?け過去のことは考えないようにしろと言われた。…そのとき私の人生にと?れほと?大きな変化か?起きたか想像て?きる?”(ベラ・R)


終章 最後の証人
“私の後ろには、直接あなた方に話か?て?きなかった600万人のユダヤ人が立っていると思ってください”(アグネス・G)


【著者紹介】
レベッカ・クリフォード
ウェールズのスウォンジー在住。2008年にオックスフォード大学にて博士号を取得(近代史)、オックスフォード大学ウースター・カレッジでのジュニア・リサーチフェローシップを経て、2009年、現在所属するスウォンジー大学(近代ヨーロッパ史/准教授)に移籍。王立歴史学会と高等教育アカデミーのフェローも務めている。著作は、2013年にオックスフォード大学出版会から刊行されたCommemorating the Holocaust: The Dilemmas of Remembrance in France and Italyがあり、彼女の所属チームが共著したEurope’s 1968: Voices of Revoltにも協力している。本書Survivors: Children’s Lives After the Holocaustはイギリス学士院のリーバーヒューム・トラストの研究助成を受けて制作されたものである。


【訳者紹介】
山田美明〈やまだ・よしあき〉
英語・フランス語翻訳家。東京外国語大学英米語学科中退。訳書にエマニュエル・サエズ+ガブリエル・ズックマン『つくられた格差――不公平税制が生んだ所得の不平等』、エディス・シェファー『アスペルガー医師とナチス――発達障害の一つの起源』、デビッド・リット『24歳の僕が、オバマ大統領のスピーチライターに?!』、プク・ダムスゴー『ISの人質――13カ月の拘束、そして生還』(以上、光文社)、ジョセフ・E・スティグリッツ『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』(東洋経済新報社)、トム・バージェス『喰い尽くされるアフリカ――欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日』(集英社)、他多数。


【監修者紹介】
芝 健介〈しば・けんすけ〉
1947年、愛媛県生まれ。東京女子大学名誉教授。専門はドイツ現代史。著書に『武装SS――ナチスもう一つの暴力装置』(講談社選書メチエ)、『ホロコースト――ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌』(中公新書)、『ニュルンベルク裁判』(岩波書店)など、訳書に『総統国家――ナチスの支配 1933-1945年』(岩波書店)、『ファシズム時代のシオニズム』(叢書・ウニベルシタス)、『二つのドイツ――1945-1990』(岩波書店)、共訳書に『ホロコースト大事典』(柏書房)、監修に『星をつけた子供たち――ナチ支配下のユダヤの子供たち』(創元社)など、ナチ関連書多数。


目次

略号/謝辞/ホロコースト生存者の名前について序章

第1章 もう一つの闘いの始まり

第2章 大人の視点

第3章 引き取られる子どもたち

第4章 家族との再会

第5章 ヴォセル館の子どもたち

第6章 変容

第7章 トラウマ

第8章 幸運と言われた生存者

第9章 ホロコースト生存者になる

第10章 それぞれの物語

第11章 沈黙

終章 最後の証人

日本語版解説/原注/参考文献/図版クレジット/索引